シー・クエンス
仕事ものがたり

桃花笑春風
桃花笑春風(とうかしゅんぷうにえむ)という言葉がある。桃の花が咲きほころぶ様子を表現した漢詩で、春のお茶席の床の間などによく掛けられている言葉である。もともと唐の時代の詩人が作った物語の一説で、そこにはこんな話が描かれている。
昨年のいまごろ、門の下で美しい少女に出会い、頬が桃の花のようになって美しい子だった。今年あの少女には会えないがどこに行ったのだろう。桃は昨年と同じように春風を受けて美しく咲いているのに。
この漢詩の解釈はいろいろあり、上記のように、昨年いたあなたにはもう会うことはできないが花はいつものように咲いていると、世の中の無常を表しているという解釈もあれば、人が過ぎ去っても季節は巡り、懸命に生きていれば春は必ずやってくる、と解釈する人もいる。
親しかった友人とこの季節に突然別れなければならなかったことを思い、藤井は桃や桜の季節にはつい感傷的に花を見てしまう。