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大阪松竹座さよなら公演『御名残五月大歌舞伎』

大正12年(1923年)、関東大震災が発生し、激動の一年となったその年に、大阪に「道頓堀の凱旋門」として開業したのが松竹座である。当初は映画館として親しまれてきたが、平成9年(1997年)に劇場としてリニューアルしてからは、上方歌舞伎や松竹新喜劇などの拠点となってきた。そして大変残念なことに、建物の老朽化が進んだため、2026年5月の公演を最後に解体されることが決まっている。そして大阪松竹座さよなら公演は『御名残五月大歌舞伎』。シー・クエンスが応援している片岡愛之助丈が大きなお役目を果たされているので、初日の昼の部を観劇してきた。愛之助が主役を務めるのは『義賢最期』。文字通り、木曽義賢のの生き様と最期が描かれた作品で、それは愛之助自身が選んだ演目であり、大阪松竹座のさよなら公演への思いも込められた選択なのだそうだ。もともと、この演目は十五代片岡仁左衛門が孝夫時代に演じており、「義賢」の重厚な型をつくったのは、当時の片岡孝夫だった。その後、愛之助が孝夫から受け継ぎ、現在は愛之助の当たり役として知られている。襖倒しや仏倒れなど、義賢が壮絶な死を遂げる場面では、観ている方はハラハラドキドキしっぱなしの迫力。つい一週間ほど前までは、「ふ〜じこちゃん」と言っていたはずの愛之助と同一人物とは思えないのである。新作歌舞伎も面白いが、やはり古典は奥深い面白さがある。歴史を知っていればより深く楽しめ、たとえ歴史を知らなくても、義賢の心がどのように動いて最期を遂げるのか、が伝わってくるので、舞台を見終えた時には涙腺がゆるむはずだ。大阪松竹座が閉館してしまう、という事実も含めて、本当にお名残惜しい公演である。

『御名残五月大歌舞伎』は、5/26(火)まで大阪・松竹座にて上演中。