シー・クエンス
仕事ものがたり

魯山人の旅茶碗
宅地造成という仕事は、大地と向き合うことである。神様がつくりあげた豊穣な大地を、一旦シー・クエンスが預かる形となる。そこに家族が住むための家屋を建てるのだが、その前段階の造成をしてととのえることが、シー・クエンスの仕事だ。前にもこのコラムで土を食べる、という話を書いたが、新たに手がけることになった土地と対峙して、大地と向き合うことで、ここにどんな家族が住んで人生を綴っていくのかを想像する。そうすることでその土地が歩んできた歴史に思いを馳せ、未来へとバトンをつなぐことができる、と考えているからだ。土地の土を感じることを大切にしているのである。そして気がつけば、藤井は陶芸家との交流が多い。それはもしかしたら、陶芸家も宅地造成も、土を媒介にして新たなクリエイションをおこなうという共通点があるから、お互いに通じ合うものがあるのだろうか。先日、かの魯山人の三代目にあたる方に、旅茶碗を焼いていただいた。岐阜県可児市に窯をかまえる、三代目魯山人 北大路泰嗣さん、魯山人のお孫さんである。のびやかなフォルム、大胆な絵付けなどからは、魯山人の血脈を感じる一碗である。これを携えて、どこか野外で一服点てたいものである。