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仕事ものがたり

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“オレ”とか“アタシ”が、前にでてはダメ。

藤井が勤めていた会社が、バブルで大意と誠実さを忘れてしまい倒産するに至ったということは前回ここで述べたが、素晴らしい上司や仲間に恵まれたのも、その会社であった。歴史ある日本企業で確固たるスピリットが根付いていたことは、倒産とは別の一面として事実だったのである。それを象徴する言葉をかつての上司M氏から教えられ、藤井は今でもそれを時々思い出すという。

「仕事がうまくいくと、つい自分を前面に出して表現しがちだが、オレがオレが、となってはいけない。オレがオレがの“我(が)”を捨てて、おかげおかげの“下(げ)”でいけ」と諭されたのだそうだ。どんなにうまくいっている時でも必ず下からの目線で、謙虚さを忘れずに相手とぶつかれ、と。

藤井が地主の方と話をする時、まずは地主さんの心の声を聞こうと、ひたすら話を聞き続けることがあるというが、藤井の人との向き合い方は、かつての上司からの教えが、その基本にあるのかもしれない。