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仕事ものがたり

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仕事の失敗と成功について

今までの仕事人生で、いちばんの失敗は何でしたか?と藤井に問うてみた。腕組みをしながらしばらく考えこんで、うーん…と悩むような表情を浮かべる。倒産劇がテレビ放映された証券会社では過酷な経験を重ねており、転職してからの保険会社でもトップセールスマンではあったが社会の闇の深さに心は疲弊していた。いくつもあったはずの失敗談。ところが「失敗したなと思うこと、ないんだよね。人間だから小さな失敗はもちろんあるけど、とどめを刺されるような失敗は感じたことがないなぁ」と藤井。「窮地に立たされた時、いつも人に救われてきたから、結果として失敗に終わるということがないのかな」失敗という言葉だけでなく、もしかすると成功とか失敗という概念そのものが藤井の頭にはないのかもしれない。

そして、しばらく時間をおいてから、思い出したかのように付け加えた。
「そうだ、わかった!仕事の目的に対して、あきらめてしまったらそれは失敗という結果になると思う。でも私は絶対にあきらめないから、だから失敗にならないんだね」なるほど、やはり成功と失敗という概念が藤井の辞書には存在しない、ということなのだ。