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仕事ものがたり

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惚れた人と仕事をしたい、それが人付き合いの基本

藤井は、仕事柄もあって付き合いが多く、平日の夜のほとんどは外食である。いわゆるグルメ本の星付きのお店にも行けば、焼肉店や下町の居酒屋にも出向く。お酒を嗜むことのない藤井は、酔うということがないからか、飲食店のオペレーションを観察したり、アルバイトも含めた人的環境が整っているかを考えたりするのが常である。そしてそうした条件などをすべて鑑みた上で、行きたいお店がおのずと決まってくるという。「お客様からお金をいただいてプロが調理してサービスするのだから、美味しいのは当たり前。美味しさ以上の、もてなし、心配り、絶妙なサービスの間合い、心地よく食事できる雰囲気づくりなどがされているかどうか。そんなことを考えてお店を選んでいると、行きたいお店は限られてくる」と藤井はいう。つまり、店主の人柄や考え方に惚れられるかどうか、が一番のポイントなのである。だから店主の思いを受け止めきれずにサービスが怠慢になっているアルバイトがいれば、時には苦言を口にすることもあるのだとか。知らない人が見れば、文句をつけているとしか映らないかもしれないが、それは愛情がこもった苦言なのである。藤井の人付き合いの基本は、人に惚れることからスタートしているのだ。