シークエンス

シー・クエンス
仕事ものがたり

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土と向かい合う、ということ

シー・クエンス株式会社の主な事業は、宅地開発である。不動産会社が一般消費者向けに住宅を販売するために、その土台となる土地を見つけて購入し、宅地が建てられるように造成してから不動産会社に引き渡すのである。だから、その住宅を購入した家族とは会うこともなければ交わることもない。では、藤井をはじめとするシー・クエンスの社員たちは、何と向き合っているのだろう?

それは、つまるところ“土”なのである。土を向き合うというと陶芸家や左官職人と勘違いされるかもしれないが、その土が持つ意味を考えることから、藤井の仕事は始まる。

樹木が朽ちて土と混ざっているか、あるいは石が多いか、もしくはプラスティックなどの人工物が混じった土か。赤いか黒いか、はたまた茶色いのか。その土をじっくり観察すると、いろいろな分析ができる。しかし藤井は土質をみているわけではない。その土がそれまでに辿ってきた歴史を感じようとしているのである。その土地が刻んできた時、空気、気配。目には見えないが、土を見ているとわかるものがある。感じることがある。こうして言葉で表現すると怪しい事業者のように思えるが(笑)、決してそうではなく、土と向かい合うということの大切さを、この13年間で学んできたのである。