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森が教えてくれること、風が教えてくれること

宅地開発を生業とする企業にとって、森は伐採すれば宅地になるので宝の山だと捉える人がいる。一方で地域の人にとってはなくなっては困る大切な森である。山口県で生まれ育った藤井にとって、森や川は子ども時代の大切な友人のような存在だった。母子家庭で育った藤井少年は、時に森に心を癒されたことや、厳しくも愛情たっぷりの育ててくれた母への思いを川に向かって叫んだことがあっただろう。藤井は自分が手掛けることになった森を目の前にすると、本当にこの森をなくしてしまっていいのか?と自問するという。土地の神様はそれを許してくれるのか?と。自分が森や川に教えられたことがたくさんあったから、この場所に住むことになる新しい家族にも、森という存在を忘れて欲しくない。だからこそ、森林法で守られるべき森林をきちんと守り残すことが藤井のできる自然への恩返しなのである。時には敷地内に公園を作ったり、森林法の決まり以外に森を一部残して宅地を作ったりしている。それが誰にも気付かれることのない行為だとしても、やがてそこに住まう家族にとって、小さな森が大きな存在になる日を夢見ているのである。