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もがいて苦しんで悩んだあとの達成感

今年の1月に愛知県日進市梅森台の25区画の宅地が無事に完成したことは、ここのコラムでも報告させていただいた。その時も書いたが、この梅森台の土地はコロナが始まった直後にプロジェクトとして始動し、コロナによる人的・経済的な遅延が重なって、さらにさまざまな課題が次から次へと起こったために、藤井はずいぶんもがいたり、苦しんだりした。解決すべきことをひとつひとつ丁寧に対応し、関係会社の協力のおかげで、なんとか完成にこぎつけた。その分、達成感もひとしおだった。今年の始まりが長く続いたトンネルから抜け出して青空を見た時のような、晴れやかなものだっただけに、藤井が懇意にしている陶芸家・中村公之氏のこの作品が目に入ってきた時は、まるで稲妻に打たれたかのように立ち尽くしてしまったという。中村氏のこの陶の作品は、梅森台の物件で試練をくぐり抜けた藤井の姿そのものに思えたのである。太くしっかりした意志が、途中でグニャっと曲がってしまったこともあった。絶対に美しい宅地に仕立ててみせる!という覚悟が、時には心もとなくなることもあった。けれど、最後は天を見上げて進んでいけるというところまで自信の持てる宅地に仕上げることができた。そんな心のあり方が、そのまま表現されているのだ。今、この作品は藤井の卓の横で、窓から見える高い空に向かって伸びていくかのように、どっしりと鎮座している。