藤井は、昨年の11月に還暦を迎え、育ててくれた母への想いをいっそう新たにし、感謝の気持ちをことあるごとに伝えている。そして母への気持ちを深めるのと同様に、家族や周りの友人たちとの時間を大切に過ごすようにしている。それは、2年半前に亡くした友人が50歳という若さで宇宙旅行へと旅立ってしまったことに起因している。友とは長く会わないまま、彼は逝ってしまった。もっと話したかった。もっと一緒に仕事をしてみたかった。だからこそ、今この時を大事な友人とともに過ごすということの意味を考えるようになったのだ。周りの友人が誕生日だと聞けば、お祝いしよう！と声をかける。仲間を呼ぶ。乾杯する。バカ騒ぎもするし叱咤激励したりもする。誕生日を元気で迎えることができたことを、一緒に祝いたいのだ。だから藤井は、およそ一年中、誰かのお祝いをし続けているのである。