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宅地づくりにとどまらず、いろいろ妄想ふくらむ秋

名古屋近郊の町の廃校になってしまった小学校をどう使っていくか。こんな話を藤井が聞き及んだのはもう半年ほど前のこと。少子高齢化が進んだことで、小中学校の統廃合が全国的に多く、愛知県でも同じ現象が起きている。子どもの数が少なくなっていることは実に嘆かわしいものの、小学校の建物はとても魅力的な空間である。クラッシュ&ビルトで新しい建物を作るのもいいが、せっかくなら教育の場であったその空間を、文化の香りあふれる面白い場へと変換させることはできないものだろうか。外国人が泊まるための宿泊所にしたらどうだろう。それとも地域の子どもやお年寄りのための多目的スペースとしてよみがえらせては?‥‥

まちに関するニュースを聞くたびに、藤井はこんな風にして妄想を始める。考えることが好きなのだ。宅地開発を生業にしているが、その土地に住う人はもちろん、そこを通りかかる人のことも幸せにしたいし楽しませたい。だから、藤井が土地や町を眺めるという行為には必ずこの妄想する時間が含まれているのである。そしてそんな妄想から、実現できそうな企画が生まれることがある。