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卒業以来、40年ぶりに訪れた母校

3月は別れの季節でもあり、学校を卒業して新たな世界へと旅立つ季節。大学を卒業以来、藤井は母校を訪れることはなかった。なぜか?と聞かれても明確な答えを出せるわけではないのだが、おそらくこの大学のOBとして、堂々と胸をはって早稲田の杜に足を踏み入れることができなかったからだろう。社会に出て40年。いろいろなことがあったが、還暦を超え、やっと社会に貢献できる立場になったなと感じられる今日この頃。母校に行ってみようと決めたのである。早稲田では卒業式がおこなわれており、そんな中でOBたちが集まる場があった。いつかこの場所に戻ってきたい、そんな思いを抱えながら、気がついたら40年が経っていたのである。
そして40年ぶりに先輩たちと歌った校歌に、藤井は胸が熱くなったという。

都の西北 早稲田の森に
聳ゆる甍は われらが母校
われらが日ごろの 抱負を知るや
進取の精神 学の独立
現世を忘れぬ 久遠の理想
かがやくわれらが 行手を見よや

この校歌の意味を今一度噛み締め、自分が社会に対して何ができるのか、藤井は改めて考えている。そして、大恩を頂いた母校にどんな恩返しができるのか、を。