藤井は、親しい友人が鬼籍に入ってしまった悲しいニュースを、この何年か続けて受け取っている。その多くが若くして病に倒れて、のことである。藤井よりも年下の友人を亡くす経験は、自然と藤井の死生観を変えていくこととなった。まだ生きねばならない友人たちを救うことができなかった、近くにいながらも助言することができなかった。そんな反省を時に1人で考え込んでしまうことがあるという。

藤井は一昨年に還暦を迎え、今年の秋で62歳になる。年老いてはいるが母も元気でいてくれる。自分は周りに哀しい思いをさせないように、より健康に留意して毎日を過ごしているが、最近はじめたことがある。それが肉体改造である。専門トレーナーについて、日々トレーニングを欠かさずにおこない、少しずつ筋肉と体力をつけてきている。こうしてトレーニングをして自分を追い込むことが、肉体だけでなく、精神をも鍛えることにつながるということは、トレーニングをしてはじめてわかったことでもある。肉体の健康だけでなく、事業や精神の健康を鍛えることでもあるのだ。鬼籍に入った友人たちのことを思いながら、今日もトレーニングに向かう。