シークエンス

シー・クエンス
仕事ものがたり

写真

歌に思うこと

歌は唄うことも、聴くことも好きだ、と藤井はいう。昭和の時代に流行った演歌の意味を、今になってしみじみ感じ、歌詞の意味を考え、味わって聴くことがあるのだ、と。演歌の“えん”には、縁・遠・艶・宴・援・焉など、さまざまな漢字をあてはめることができる。それだけ物語性に富んでおり、いろいろな人々の人生に深く関わりながら、成り立ってきたからである。特に、藤井の出身である山口県に近いところで生を受けた作詞家のことは、気になるものである。瀬戸内出身の作詞家といえば代表格が、阿久悠さん。主な演歌は、「北の宿から」「舟唄」「雨の慕情」「津軽海峡冬景色」などがある。「どれもいい、聴いていると時に涙がでてくることもある」という。叙情性を大切にした阿久悠さんの作る歌が隆盛を極めた後、新時代感覚の実体験型の歌詞による楽曲がヒットの上位を占めるようになった。こうして分析してみると、藤井は叙情的に人生を描いた物語が好きなのだろう。歌の中に生きる人の人生を想像し、時に共感しながら、物語の中に入り込んでいるのである。