シー・クエンス
仕事ものがたり
宅地難民問題の解消こそ、我がつとめ
藤井がシー・クエンスを立ち上げた理由は、今までに何度も書いているが、ゆみちゃんの短冊との出会いからであった。藤井がこの仕事をしていこうと決めたのは47歳。自分の人生において、キャリアを生かす最後のチャンスだと思い、それから宅地建物取引主任者の資格取得や宅地造成に関する法律の勉強をはじめた。しかし、調べれば調べるほどに日本の住宅事情が困難という文字に溢れていることを思い知らされる。人々は自分の家が欲しい、家を建てたいと願っている。しかし希望に見合う土地が圧倒的に少ないのである。愛知県で年間に土地を探しているのは1万世帯に及ぶという。家族みんなで暮らせる家が欲しいという夢のために、懸命に働いてお金を貯めてきた人々を簡単にあきらせさせたくない。ゆみちゃんのような小さな子供の切実な願いをなんとか叶えてやりたい。しかしながら年間一万世帯の宅地難民問題を解消するのは簡単なことではない。「1万世帯とは、とてつもない数字。これはお金儲けの考え方で取り組んだら、とりかえしのつかないことになる。それよりも自分の人生をかけて、宅地難民問題を解決することこそ、我が使命だと思っていかなければ」藤井は自分にそう言い聞かせて、シー・クエンスを創業したのである。