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吉田松陰の言葉を日々唱えること

藤井の座右の銘が『至誠通天』であることは、前のコラムでも述べた。中国の儒学者である孟子の言葉だが、同じく孟子の言葉を、吉田松陰がわかりやすく言葉にしている。それが『至誠にして動かざるものは、未だこれ有らざるなり』である。吉田松陰の「講孟余話」からの一説で、吉田は獄中でこれを書いたといわれている。藤井のデスクから目に入るところに、この額がかけられており、その意味は、「誠意をつくせばどんなことでも動かすことができるが、不誠実に対応すると何も動かない」である。藤井が山口県出身ということもあり、長州藩の武士の一人として明治維新において重要な働きをした吉田松陰は、藤井にとっては子供のころから見聞し、大きな影響を及ぼした歴史上の人物なのだろう。

藤井はこの言葉をビジネスマンとして、こう解釈している。言葉も行動も、誠実であることがすべての基本である。気持ちをこめてとことん尽くしたら、物事はきっとうまく動き、人もついてきてくれる。そんな思いを持った人と仕事がしたい。逆にお金で動く人、利益追求が第一目的の人とは、ともに仕事をしたいとは思わない。志をともにできるビジネスパートナーこそ、藤井にとっては最大の“利”なのである。